年長クラスでは、子どもたちが「自分の考えを伝える」「友達の意見を聞く」ことが増えてきます。話し合いや探究活動を通して、考える力や協力する力が育ちます。
でも、こんな悩みはありませんか?
・話し合いをしても、なかなか意見が出ない…
・探究活動が一度きりで終わってしまう…
・子どもが受け身になってしまいがち…
こうした悩みを解決するポイントが、「子どもの興味」「環境設定」「保育者の関わり」 の3つです!
この視点を意識すると、活動がもっと深まり、子どもたちが主体的に動けるようになります。
1. 子どもの興味をキャッチする

話し合い活動や探究活動を広げるためには、子どもたちが「もっと知りたい!やりたい!」と思えることが大切です。
興味を持てば、自分から意見を出したり、考えたりする意欲が高まり、活動がどんどん発展していきます。
しかし、保育者が「これをやろう!」と決めて進めるだけでは、子どもたちは受け身になりがちです。では、どうすれば子どもの興味をキャッチし、主体的に取り組めるようにできるのか? 3つの方法を紹介します。
① 子どもの「つぶやき」や「行動」に注目する
何気なく発した言葉や、夢中になっている遊びの中には、子どもたちの「知りたい」「やってみたい」という気持ちが隠れています。
例えば、日常の中でこんな言葉を耳にしたことはありませんか?
・「なんで雲って動くの?」 → 「じゃあ、雲を観察してみよう!」と探究活動へ
・「先生、カブトムシってどうやって卵を産むの?」 → 「じゃあ、みんなで調べてみよう!」と話し合いや探求活動へ
・「お当番って、もっと楽しくできないかな?」 → 「みんなで新しいルールを考えよう!」と話し合い活動へ
このように、子どもたちのつぶやきを拾い、そこから話し合いや探究活動に発展させることで、子どもが主体的に関われるクラス活動へと広げることができます。
また、言葉だけでなく子どもの行動にも注目しましょう。
・例えば、散歩中に落ち葉をたくさん拾っている子がいたら → 「どんな形があるかな?」と探究活動につなげる
・給食中におかわりの量を友達と比べていたら → 「どうすれば同じ量にできるかな?」と話し合い活動へ
こうした日常の何気ない場面をきっかけに、活動を広げる視点を持つことが大切です。
② 「どっちがいい?」と簡単な選択をさせる
「みんなの意見を聞きたいけど、なかなか発言が出てこない…」
そんなときは、2つの選択肢を提示して、意見を引き出す方法が効果的です。
例:探究活動の場合
「お花が枯れるのはどうしてだろう? 図鑑で調べてみる? それとも、実際に水をあげる量を変えて実験してみる?」
例:話し合い活動の場合
「運動会の応援をもっと盛り上げるにはどうしたらいい? ①みんなで手拍子をそろえる、②応援フラッグを作る どっちがいい?」
2つの選択肢を用意すると、子どもたちは「どっちがいいかな?」と自然に考え、意見を出しやすくなります。また、「じゃあ、ほかにいい方法はある?」と問いかけることで、新しいアイデアを引き出すこともできます。
発言のきっかけを作る工夫をすることで、話し合いが活発になり、探究活動の方向性も決まりやすくなります!
③ 「先生が決める」から「子どもが決める」へシフトする
年長クラスになると、「大人が決めたことをやる」だけでなく、自分たちで考え、決める経験が大切になります。
少しずつ「子どもが決める場面」を増やすことで、話し合いや探究活動が広がっていきます。
例えば…
先生が決める場合:「今日は○○について話し合います」
子どもが決める場合:「最近、みんなが気になっていることって何かな?」
先生が進める場合:「この方法で試してみよう」
子どもが進める場合:「どんな方法があると思う?どうやったら試せるかな?」
こうすることで、子どもたちは「自分たちの意見が大切にされている」「自分で決めたからやってみよう!」という気持ちになり、活動がどんどん深まります。
また、「話し合いの進行役」「意見をまとめる係」などの役割を決めるのも効果的です。
子どもたちが自分たちで進める経験を積むことで、話し合い活動や探究活動がより充実していきます!
2. 環境設定で活動の幅を広げる

話し合い活動や探究活動を広げるためには、子どもたちが自分から動きたくなるような環境作りが重要です。
どんなに良いテーマを設定しても、環境が整っていなければ活動は深まりません。逆に、ちょっとした工夫で「もっと知りたい!やってみたい!」という気持ちが引き出され、活動が自然と広がっていきます。
ここでは、話し合い活動と探究活動、それぞれの環境設定のポイントを紹介します。
① 話し合い活動が活発になる環境作り
1. 「意見を出しやすい雰囲気」を作る
「話し合いましょう!」と言っても、子どもたちがなかなか発言しないことがありますよね。そんなときは、環境を工夫して自然と意見が出る雰囲気を作ることが大切です。
工夫のアイデア
・座る配置を変える → 円やコの字型に座ると、お互いの顔が見えやすく、意見を出しやすい
・「ホワイトボード」や「意見カード」を活用 → 発言が苦手な子も、カードに書いて伝えやすくする
・「どんな意見でもOK!」という雰囲気作り → 先生がまず「面白い意見だね!」と肯定すると、子どもたちも安心して発言できる
たとえば、テーマが「雨の日の遊びを考えよう!」だった場合、
「外で遊びたい!」
「じゃあ、傘を使って遊ぶ?」
「長靴で水たまりに入るのは?」
と、どんどん発言が広がるような場作りを意識すると、話し合いが活発になります。
2. 話し合いの「見える化」で意見を整理しやすくする
子どもたちの意見を見える形にすると、話し合いがスムーズになります。
おすすめの方法
- ホワイトボードや模造紙に意見を書き出す
- 絵や写真を使って視覚的に整理する
- 「YES・NO」など簡単な投票で意見をまとめる
例えば、「運動会の応援方法を考えよう!」という話し合いでは、
「手拍子をそろえる」 「旗を作る」 「応援ソングを決める」
など、意見をボードに書き出すと、子どもたちも「どんなアイデアがあるのか」が一目で分かり、話し合いが整理しやすくなります。
② 探究活動が深まる環境作り
探究活動では、「試したい!調べたい!」と思ったときにすぐに行動できる環境を作ることが重要です。
1. 「すぐに試せる・調べられる環境」を用意する
探究心は「思いついたとき」にすぐに試せるかどうかがカギになります。
工夫のアイデア
・観察コーナーを作る → 例:虫・植物・天気の変化などをいつでも観察できる
・実験スペースを用意 → 例:水遊びエリア、磁石や鏡を使った遊びコーナー
・図鑑やタブレットを活用 → 例:知りたいことをすぐに調べられるようにする
例えば、子どもたちが「氷はどれくらいで溶けるの?」と言ったら、すぐに氷を用意して実験できる環境があると、探究心が続きます!
2. 「発見したことを共有する場」を作る
探究活動は、「発見したことを共有する」ことで、さらに深まります!
おすすめの工夫
・「探究ノート」を作る → 子どもたちが自分で気づいたことを書き留める
・「発表コーナー」を設置 → 探究の成果を絵や写真でまとめ、みんなで共有できるようにする
・「お知らせボード」を作る → 「今日は○○を調べています!」とみんなに伝える
例えば、「ダンゴムシの生活を調べたい!」という探究活動なら、
・毎日観察して絵やメモを書き、発表コーナーに貼る
・図鑑で調べたことを、探究ノートにまとめる
といった工夫をすると、「もっと知りたい!」という気持ちが持続します。
3. 保育者の関わり方が鍵!

話し合い活動や探究活動を広げるためには、保育者の関わり方がとても重要です。同じテーマでも、保育者の声かけや接し方次第で、子どもたちの意欲や主体性が大きく変わります。
では、子どもたちが自分から意見を出したり、深く考えたりするためには、どのような関わり方が効果的なのでしょうか?ここでは、3つのポイントを紹介します!
① 「正解を教える」のではなく、「考えを引き出す」
探究活動では、「先生、これって何?」と子どもたちが質問してくることがありますよね。そんなとき、すぐに答えを教えてしまうと、「調べてみよう!」という探究心が育ちにくくなります。
例えば…
子ども:「先生、なんで氷って溶けるの?」
×→先生:「気温が高いと溶けるんだよ。」(正解を教えて終わり)
○→先生:「どうしたら分かるかな? 実験してみる?」(子どもに考えさせる)
「どうしたら分かるかな?」「ほかに方法はある?」と問いかけることで、子どもたちは自分で考え、試してみるようになります。
話し合い活動でも同じです!
子どもたちが意見を出さないとき、「この意見が正しいよ」と導くのではなく、「どう思う?」「ほかに考えはある?」と促すことで、子どもたち自身が考える経験を増やすことができます。
② 「意見をつなげる」関わり方を意識する
話し合い活動では、1人の子が発言した後に、次の意見が出にくいことがあります。そんなときは、保育者が「意見をつなぐ」役割をすることで、話が広がります。
例えば…
Aくん:「もっと給食の配膳を早くしたい!」
Bちゃん:「私もそう思うけど、どうしたらいいのかな?」
先生:「Aくんは早くしたいって考えてるね。Bちゃんはどうしたらいいか考え中だね。他にアイデアがある人はいる?」
このように、意見を受け止めながら、次の発言を引き出すことで、自然と話し合いが活発になります。
また、反対意見が出たときも、
Cくん:「でも、急ぐとお皿を落としちゃうよ!」
先生:「Cくんは安全も大事だと思っているんだね。じゃあ、早くしつつ、安全にするにはどうしたらいいかな?」
とまとめることで、意見の対立が「よりよい方法を考える機会」へと変わります。
このように、意見をつなげ、整理することで、子どもたちが主体的に話し合える環境を作ることができます。
③ 「失敗や気づきを成長につなげる」
探究活動では、子どもたちはたくさんの発見をしますが、時には「思ったような結果が出ない」「うまくいかない」こともあります。
そんなときこそ、「うまくいかなかった理由を考えること」が、より深い学びにつながります!
例えば…
子ども:「水に浮くと思ったけど、沈んじゃった…。」
先生:「そっか、思ったのと違ったんだね。なんで沈んだのかな? ほかのものでも試してみる?」
このように、失敗をポジティブにとらえる声かけをすることで、子どもたちは「やっぱりやめよう…」ではなく、「じゃあ、どうすればいい?」と考えるようになります。
話し合い活動でも、同じことが言えます!
例えば…
「みんなで決めたルール、あんまり守られてないよね…。」
先生:「そうだね。でも、せっかく考えたルールだから、もっと守れるようにする方法をみんなで考えてみない?」
このように、「うまくいかないこと=考えるチャンス」と伝えることで、子どもたちは「どうすればもっとよくなる?」と主体的に考えるようになります。
今日から実践できる!話し合い&探究活動の工夫

話し合い活動や探究活動をもっと深めたい!でも、「どこから手をつけたらいいの?」と迷うこともありますよね。
そんなときは、小さな工夫から取り入れることが大切です。
ここでは、今日からすぐに実践できるシンプルな方法を紹介します!
①話し合い活動をスムーズに進める工夫
朝の会・帰りの会に「ミニ話し合い」を取り入れる
毎回大きなテーマを話し合うのは難しくても、短時間の話し合いならすぐに実践できます!
例えば…
「今日の遊びで楽しかったことは?」(意見を出す練習)
「雨の日にできる楽しい遊びを考えよう!」(テーマを決めて話し合う練習)
「明日はみんなで何をしたい?」(選択肢を作り、決定する練習)
「意見を言う場面が日常にある」ことが大切です。少しずつ話し合いに慣れていくことで、子どもたちが自然と発言しやすくなります。
「見える化」で意見を整理しやすくする
子どもたちは、頭の中で考えるだけでは意見を整理するのが難しいことも。そんなときは、意見を「見える形」にすると話し合いがスムーズになります!
簡単にできる工夫
・ホワイトボードに意見を書き出す → どんな意見が出たか、みんなが確認できる
・絵カードを使って伝える → まだ言葉が出にくい子も、カードを使えば参加しやすい
・シール投票をする → どの意見が人気か、みんなで簡単に決められる
例えば、「給食の準備をもっとスムーズにするには?」という話し合いなら、
「お皿を並べる人を増やす」「食べる前の歌を短くする」「机を近づける」
といった意見をホワイトボードに書き、子どもたちに「どれがいい?」と選んでもらうと、考えやすくなります!
②探究活動を深める工夫
「気になることボード」を設置する
子どもたちの「なんで?」「どうして?」を探究活動につなげるために、「気になることボード」を作ってみましょう!
方法
- 子どもたちが疑問に思ったことを自由に書く(絵でもOK!)
- 「どうやったら分かる?」とみんなで方法を考える
- 実際に調べたり、試したりしてみる!
例えば、ある子が「なんで空は青いの?」と書いたら…
→ 「図鑑で調べる?」「青いものを通して光を見てみる?」など、子どもたちと探究の方法を考える時間が生まれます。
こうすることで、子どもたちが「自分の疑問を解決できる!」という経験を積めるようになります。
「試せる場所」をつくる
探究活動では、「試してみたい!」と思ったときにすぐ実験できる環境が大切です。
簡単にできる工夫
・水遊びや実験ができるコーナーを作る(氷・スポイト・計量カップなどを用意)
・図鑑や本を手に取りやすい場所に置く(子どもが気になったらすぐ調べられる)
・自然のものを観察できるエリアをつくる(虫・葉っぱ・花などを自由に観察)
例えば、「氷はどれくらいの時間で溶ける?」と気になったら、
すぐに氷を用意して「暖かい場所・寒い場所で比べる実験」をするなど、すぐに試せる環境があると、子どもたちの「やってみたい!」が続きやすくなります。
「発表の場」をつくる
探究活動の成果をクラス全体で共有すると、「もっと調べてみよう!」という意欲が高まります。
簡単にできる工夫
・「探究ノート」に気づいたことを記録する(自由に絵や文字でまとめる)
・「発見コーナー」を作って、気づきを掲示する(クラスみんなで共有できる)
・「発表タイム」を設けて、友達に伝える機会を作る(みんなの前で話す経験も積める)
例えば、「ダンゴムシの生活を調べた」子がいたら、
・観察したことを絵と一緒に探究ノートにまとめる
・それを「発見コーナー」に掲示して、みんなで見る
・朝の会などで、発表タイムを作り、気づいたことを話す
このように、「自分の発見を伝える場」があると、子どもたちの探究活動がさらに広がります!
まとめ
年長クラスの話し合い&探究活動は、子どもたちの「もっと知りたい!やってみたい!」を引き出すチャンスです。
うまくいかないことがあっても、大丈夫。小さな気づきやちょっとした工夫が、子どもたちの学びを大きく広げていきます。
「今日はどんな発見があるかな?」
「子どもたちのどんな言葉を拾ってみよう?」
そんなワクワクした気持ちで、子どもたちと一緒に楽しみながら、話し合い&探究活動を深めていきましょう!
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