保育園や幼稚園の発表会は、子どもたちにとって日常とは少し違う特別な体験です。
日々の成長の中で得た力を発揮し、みんなの前で表現するこの機会は、子どもたちに自信や達成感をもたらします。
特に「子どもたち自身が主体となって楽しめる発表会」は、個性を伸ばし、協力し合う大切さを学ぶチャンスでもあります。
この記事では、子どもたちの「好き」や「やってみたい」という気持ちを大切にしながら、発表会をどう準備していくかをお伝えしていきます。
子どもたちとの話し合いを通じてテーマを決めたり、役割を一緒に考えたりすることで、発表会が単なるイベントにとどまらず、子どもたちにとって貴重な学びの場となります。
ここから先は、子ども主体で発表会準備を進めるための具体的なステップを紹介していきます!
テーマ決めは「子どもの興味・関心」を大切に
発表会のテーマを決める際には、まず「子どもたちが何に興味を持っているのか」を知ることが大切です。発表会は、ただ見せるためのイベントではなく、子どもたちが自分らしさを発揮し、楽しく取り組む場です。
そのため、普段の遊びや会話から、どんなテーマにするとワクワクできるかを見つけていきましょう。
子どもたちと一緒にテーマを考えるメリット
子どもたちとテーマを話し合うことで、以下のようなメリットがあります。
- 主体性が育つ:自分の意見がテーマに反映されることで、やる気や自信が高まります。
- イメージしやすくなる:好きなキャラクターや物語がテーマになると、役に入り込みやすく、表現力も伸びやすくなります。
- 新しいアイデアが生まれる:子どもたち同士で意見を出し合うと、大人が思いつかない発想が出てくることもあります。
テーマのアイデアを引き出すための工夫
テーマを決める際には、子どもたちの好奇心を刺激する質問やアイデアを促す言葉がけがポイントです。次のようなステップを試してみましょう。
1、普段の遊びや絵本からヒントを得る
日々の保育の中で、子どもたちがよく遊ぶものや、絵本のキャラクター、歌にヒントを得ましょう。
例えば、動物園や恐竜ごっこが好きな子たちが多いなら「森の動物たちの大冒険」や「恐竜たちのパレード」などに展開できます。
2、季節や行事もテーマ選びに活用する
発表会の時期が冬なら「クリスマスのパーティー」、春なら「春の森で出会う生き物たち」といった季節感のあるテーマも親しみやすく、ワクワクしやすいでしょう。
行事をテーマにすることで、子どもたちもイメージしやすくなります。
3、子どもたち自身の体験を活かす
運動会や遠足の話など、最近の出来事を取り入れると、子どもたちは自分の経験からキャラクターを想像しやすくなります。
たとえば、みんなでピクニックに行った思い出があれば、「ピクニックで出会った不思議な動物たち」など、子どもたち自身の思い出をもとにしたテーマにすると親近感も増します。
先生のサポートでテーマを形にする
話し合いの中でたくさんの意見が出た場合は、先生が子どもたちの声をまとめ、少しずつテーマの方向性を見つけていきます。以下のポイントに沿って、テーマを整理すると良いでしょう。
- 子どもたちが無理なく演じられるか(複雑すぎない物語にする)
- イメージしやすい登場人物やストーリーになっているか(身近で親しみやすいテーマか)
- 配役のバリエーションがあるか(子どもたちがいろいろな役を選べるような内容になっているか)
テーマがしっかり決まることで、子どもたちの「やってみたい!」という意欲がさらに高まり、次の配役や台本作りへとスムーズに進んでいきます。
役割分担と配役を決める
テーマが決まったら、次に取り組むのは子どもたち一人ひとりに合った役を決めることです。役割分担をする際も、子どもたちが楽しみながら参加できるような工夫を取り入れることで、自然と意欲が高まります。
「どの役をやりたいか?」を尋ねながら、子どもたちの個性や性格に合った配役を進めましょう。
子どもたちの「なりたい」を引き出す配役の工夫
役割を選ぶ際に、いくつか工夫した声かけをしてみると、子どもたちが自分の興味や得意なことに気づきやすくなります。
- 具体的な役柄を伝える:「ライオン役になりたい人いるかな?」「お話の最後に出てくるお姫様もいるよ!」と役柄をイメージしやすくしてあげると、子どもたちも「やりたい!」という気持ちが引き出されやすくなります。
- 役割のバリエーションを増やす:キャラクターが少ない場合も、役を増やしたり、アレンジして新しい役柄を作ることで、誰もが希望する役に近いものを演じられます。
役が決まらない子どもには「合った役」を提案
すぐに役を決められない子どもや、人前に出ることに少し抵抗を感じる子には、その子に合った役柄を提案するのも良い方法です。例えば次のような役を用意して、無理なく楽しめる形で参加してもらいましょう。
- 動きやすい役:「大きな木」や「動物の群れ」など、セリフが少なく身体表現が中心の役を設定すると、演じるハードルも低くなります。
- サポート役や音響の役:舞台の横で音や音楽を担当する役を用意すれば、表に出るのが苦手な子も参加しやすくなります。
台本作成のポイント
テーマと配役が決まったら、次は台本作成に取りかかります。
台本は物語の流れを作る大切な部分ですが、子どもたちが無理なく取り組めるよう、シンプルでわかりやすい内容にするのがポイントです。
また、台詞や場面に子どもたちのアイデアを少しずつ取り入れることで、演じる楽しさがさらに増します。
台本作りのコツ
1、シンプルで短いシーン構成にする
子どもたちが飽きずに集中できるよう、場面転換は少なく、シンプルな構成を心がけましょう。長い物語も、2~3場面程度の短いシーンに分けることで、テンポが良く進みます。
シーンごとにテーマがはっきりしていると、子どもたちも場面を切り替えて楽しみやすくなります。
2、覚えやすい台詞を使う
台詞は、子どもたちが覚えやすく、自分の言葉として言いやすい内容にするのがポイントです。簡単な言葉を繰り返したり、短いセンテンスにすると、子どもたちも気持ちが乗りやすくなります。
例えば、動物のキャラクターなら「ガオー!」や「一緒に遊ぼう!」といった自然な台詞にすると、楽しみながら練習できます。
3、子どもたちのアイデアを取り入れる
台本を作成する際には、シーンごとに子どもたちと話し合いながら進めるのが良いです。
「ここで何を言ったら面白いかな?」「ライオンさんはどんな声かな?」といった質問をすることで、子どもたちが積極的に意見を出し、台本に参加する感覚を得られます。
こうして子どものアイデアが反映されると、オリジナリティあふれる台本に仕上がります。
子どもたちが物語をイメージしやすい工夫
台本作りの段階で、物語の流れやシーンの内容を絵やイラストを使って視覚的に伝えると、子どもたちも自分の役をより深く理解でき、イメージが湧きやすくなります。
例えば、紙芝居のようにシーンごとの絵を描いたり、登場人物の特徴を色や服で分かりやすく示すことで、「自分が何をするのか」を楽しく学べます。
台本が完成したら、いよいよ子どもたちと一緒にリハーサルへと進んでいきます。子どもたちにとって覚えやすく、演じる楽しさが感じられる台本を作ることで、リハーサルや本番がさらにワクワクする体験になるでしょう。
大道具・小道具づくりも一緒に楽しむ
発表会に向けての準備では、舞台を彩る大道具や小道具作りも、子どもたちにとって大きな楽しみのひとつです。
物語のテーマに合わせた道具を一緒に作ることで、舞台に立つ喜びがより一層高まり、子どもたちは「自分たちの発表会をみんなで作り上げている」という達成感を感じることができます。
子どもたちと一緒に作る大道具・小道具のアイデア
大道具や小道具を子どもたちと作る際には、次のようなアイデアを取り入れると作業が楽しくなります。
1、物語の世界を描いた大きな背景画
例えば「森の冒険」がテーマなら、模造紙に森の絵をみんなで描くのもおすすめです。木や花、空の色なども一緒に考え、子どもたちが思い思いの絵を描くことで、舞台の背景が一気に華やかに。
完成した背景画は、子どもたちにとっても愛着のある「自分たちの舞台」となります。
2、キャラクターを象徴する小道具を手作りする
動物の耳やしっぽを紙や布で作ったり、王冠や魔法の杖を子どもたちと一緒に工作すると、キャラクターにさらに親しみが湧きます。
自分が使う道具を自分で作ることで「これは私の!」という特別感も生まれ、より積極的に役に取り組むきっかけにもなります。
3、簡単な衣装を手作りで準備する
衣装は少しアレンジするだけでも、子どもたちの気分が盛り上がります。例えば、Tシャツに動物の模様を描いたり、クラフト素材で帽子や飾りを作ることで、キャラクターの雰囲気が一段と高まります。
衣装作りも子どもたちと一緒にやると、さらに楽しさが増します。
小道具づくりの中で大切にしたいポイント
小道具や大道具を作る際には、工作が得意な子もいれば、少し苦手に感じる子もいます。そのため、全員が無理なく関われるよう、簡単な作業を分担するのがおすすめです。
色を塗ったり、紙をちぎったりするだけでも立派な役割になります。「一緒に作っている」という達成感を感じられることが、子どもたちにとって大切な経験になります。
このようにして、舞台の準備も子どもたちと一緒に楽しみながら進めていくことで、発表会に向けての意欲がさらに高まり、みんなで協力して作り上げる発表会が実現します。
リハーサルを楽しく行う
台本や小道具が整ったら、いよいよリハーサルです。リハーサルは、発表会本番で自信を持って楽しむための準備段階。
ここでも、子どもたちが「練習が楽しい!」と感じられるような工夫を取り入れると、集中力が増し、自然と本番への意欲も高まります。
楽しみながら進めるリハーサルの工夫
リハーサルをスムーズに進めるために、子どもたちが飽きない工夫や、リハーサルを通じて役になりきるためのポイントを考えましょう。
1、リハーサルをゲーム感覚で行う
リハーサルをただの「練習」にするのではなく、ゲーム感覚で取り組むことで、楽しみながら集中して取り組めます。
例えば「今からみんな動物の声で話してみよう!」と動物になりきる練習をしたり、「王様歩きでステージに入ってみよう」と歩き方を遊びながら練習するのもおすすめです。
2、動きや立ち位置の確認をわかりやすくする
子どもたちは、リハーサルで「どこで止まって」「どの方向を向くか」を迷いやすいので、立ち位置をシールやマットで示すとわかりやすくなります。
「青のシールに来たら止まってね」などと伝えることで、舞台での動きが視覚的にわかり、安心して動けるようになります。
3、役になりきる楽しさを引き出す言葉かけ
子どもたちが役をより深く理解できるよう、「ライオンさんの気持ちになってみよう!」「お姫様はどんな顔をするかな?」と、役柄に沿った気持ちを引き出す言葉かけを意識しましょう。
こうすることで、リハーサルを通じて子どもたちが「自分の役」になりきる楽しさがさらに増します。
リハーサルを通じて本番に向けての自信を育てる
本番直前のリハーサルでは、子どもたちに「今までたくさん練習してきたことを思い切り楽しもうね!」と声をかけ、自信を持てるようサポートしましょう。
少しずつ台本が進み、役に慣れることで子どもたちも「できた!」という達成感を感じやすくなります。
発表会に向けて準備をしてきたプロセスを通して、子どもたちはたくさんの成長を遂げ、本番で自信を持って楽しむ姿を見せてくれると思います。
まとめ
発表会やお遊戯会は、ただ「演じる」だけでなく、準備の過程を通して子どもたちがたくさんのことを学び、成長する大切な機会です。
子どもたちはテーマ決めからリハーサルまでの一つひとつの過程を通して、仲間と協力することや、自分の役を一生懸命に取り組むことの楽しさを体験します。
先生や仲間と一緒に作り上げる発表会は、子どもたちにとっても大切な思い出として心に残ります。
特に、子どもたち自身が主体的に意見を出し、自分の「やりたい」「できた」という気持ちを感じられる発表会は、子どもたちの自信や達成感につながります。
準備から本番まで子どもたちと共に歩む先生にとっても、子どもたちの成長を間近で感じられる貴重な時間になると思います。
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