年長さんにとって、発表会は特別な行事の一つで、5歳児の発表会は感動の集大成です。劇や歌、踊りを通じて、これまでに培ってきた力を発揮する場であり、子どもたちの成長を感じられる感動的なイベントでもあります.
しかし、初めて年長の担任を任されると、準備が不安になることも。「何を発表するか」「どんなふうに練習を進めるか」と悩む保育士さんも多いのではないでしょうか?
そんな方に向けて、この記事では年長担任を多く経験した保育士がおすすめする、発表会の作り方をご紹介します。子どもたちが楽しみながら取り組め、保護者にも喜んでもらえる発表会を一緒に作り上げましょう!
5歳児の劇や歌の選び方
5歳児の劇や歌の「選び方」のコツを紹介します。
子どもたちの「今の興味」を探る
5歳児は、自分が大好きなものに対してとても素直で夢中になります。そのため、子どもたちの「今の興味」をテーマにした劇や歌を選ぶと、自然と意欲的に取り組んでくれます。
また、子どもたち自身が主体的に意見を出せる時間を作るのがおすすめです。「みんなでやりたい劇はなに?」「どんな歌を歌いたい?」と自由に話してもらうことで、子ども達の想いが自然に発表内容に反映されます。
保育士がすべてを決めるよりも、こうしたプロセスを通じて子どもたちのやる気や楽しみを引き出すことができます。
成長を感じられるテーマを選ぶ
発表会は、子どもたちの「成長の集大成」としての意味合いが大きいイベントです。そのため、年長らしい成長や気づきを感じられるテーマを取り入れると、より心に響く発表になります。
たとえば、劇のテーマとして「みんなで協力して冒険をする話」や「感謝を伝えるストーリー」を選ぶのも良いと思います。
歌の場合も、5歳児の成長を表現できる曲がおすすめです。元気いっぱいの声が響く明るい曲や、少し感動的な歌詞を含んだ曲は、歌う子どもたちの心に響きますし、保護者にもその成長が伝わります。
準備しやすさを考える
テーマを選ぶ際には、「実際の準備がしやすいか」も重要なポイントです。保育士の準備負担が大きくなりすぎると、練習にしっかり時間を割けなかったり、心身に負担がかかってしまったりします。
たとえば、衣装や小道具が簡単に用意できるものや、日常的な素材で代用できる内容を選びましょう。
保護者視点を取り入れることも大切
選び方の最後のポイントとして、保護者にとってもわかりやすく感動しやすい内容かどうかを考えることも大切です。
保護者は、普段の子どもたちの様子を知らないことも多いので、「この劇を通じてどんな成長が伝わるか」「どんな場面で子どもたちが輝くか」を意識してみてください。
発表会の準備ステップ
発表会の準備には、スケジュールの管理や子どもたちのモチベーションを引き出す工夫が欠かせません。特に初めての年長担任では、不安を感じることも多いですよね。
ここでは、具体的な準備の流れを3つのステップに分けてご紹介します。これを一つひとつ進めていけば、無理なく発表会を完成させられるはずです!
①テーマ決定と計画づくり
準備の最初の段階では、「どんな発表会にするか」を明確にすることが最も大切です。以下のプロセスで進めてみましょう。
- 発表会のテーマを決める
子どもたちがどんなストーリーを表現したいのか、どんな歌を歌いたいのかを考える際に、発表会全体のテーマを大まかに設定します。
テーマは子どもたちの興味を反映しつつ、保護者に成長を感じてもらえるものが理想的です。- 例:「みんなで力を合わせる」「ありがとうを伝える」「冒険やチャレンジ」など。
- 子どもたちに「この前読んだ絵本、みんな好きだったね。これを劇にしたらどうかな?」と問いかけてみる。
- みんなでテーマを話し合い、「こんな物語をやってみたい」という声を引き出す。
- ざっくりとスケジュールを立てる
期限に向けて無理のない計画を作ることが重要です。発表会までの期間を3つの段階に分けると、進めやすくなります。- 初期段階(1~2週間くらい):テーマ決定、配役、小道具や衣装の準備開始。
- 中期段階(2~4週間くらい):劇や歌の練習、台本に沿った動きの確認。
- 仕上げ段階(2週間くらい):リハーサルを重ね、本番に近い形で練習。
- 「○月○日までに役割を決めよう」などの目標を決める。
- 保育士同士で「○○先生は小道具担当、△△先生は台本作成」といった分担を決める。
- 役割分担を明確にする
準備に関わるすべての人の役割を早い段階で決めることで、進行がスムーズになります。以下のように分けると良いでしょう。- 小道具・衣装作り:必要な材料リストを作成し、保護者の協力をお願いする場合も検討。
- 子どもたちへの指導:セリフや動きを覚えるサポート。
- 進行管理:スケジュールの進捗チェックや保護者対応。
②練習の進め方
準備が整ったら、次は練習の段階です。子どもたちが楽しく取り組みながら、少しずつ発表会の形を作り上げていく工夫が求められます。
- 遊び感覚で取り組む練習スタート
発表会の練習は、子どもたちが緊張しないよう「遊びの延長」で始めるのがおすすめです。
特に最初の段階では、形式ばった練習ではなく、自由に動いたり声を出したりする活動を通じて、自然に役になじんでもらいます。- 劇の場合:役になりきるごっこ遊びを取り入れる。「ウサギ役の子はどんなふうに飛ぶかな?」とイメージさせる。
- 歌の場合:リズム遊びや簡単な手拍子を加え、楽しく歌える雰囲気を作る。
- 短い時間で集中力を高める練習
子どもたちの集中力を考慮して、最初は短い練習時間から始めます。10~15分程度の練習を数回繰り返すだけでも、徐々に集中力が育ちます。
練習中に「今、すごくよかったよ!」とポジティブな声かけを積極的に行い、成功体験を増やしていきましょう。 - 練習の成果を可視化する工夫
練習の成果を子どもたちが実感できるよう、動画を撮影して見せたり、できた部分を発表し合ったりする時間を作ります。「これだけ上手にできるようになったんだね」と褒めることで、モチベーションが上がります。
③仕上げとリハーサル
最後の仕上げ段階では、本番さながらの練習を中心に進めます。この時期に細かい部分を調整し、子どもたちが自信を持てる状態を作りましょう。
- 衣装や小道具を使用したリハーサル
本番と同じように衣装や小道具を使用することで、子どもたちに当日の雰囲気をイメージさせます。
初めて衣装を着ると子どもたちが嬉しさと緊張感を感じる場面もあるので、「かっこいいね!」と盛り上げながら練習を進めます。 - 失敗を恐れない雰囲気づくり
リハーサルでは、子どもたちが間違えることも多いものです。しかし、その場面を練習の一環と捉え、「間違えても大丈夫だよ!」「先生も一緒にやるから安心してね」と安心感を与える言葉かけを意識しましょう。 - 保護者向け準備も進める
プログラムの印刷、当日のタイムスケジュールの確認、座席配置なども最終段階で確認します。また、子どもたちが一生懸命作った小道具や装飾を、会場内に飾る準備もこのタイミングで行うと良いでしょう。
子ども主体で発表会を進めるコツ
発表会の準備を進める中で、子どもたちが主役であることを大切にすることが、成功の鍵になります。子どもたち自身が「自分たちで作り上げた!」と感じられる経験は、やりがいや達成感につながります。
この章では、子ども主体で発表会を進めるための具体的な工夫を紹介します。
1. 子どもたちのアイデアを活かす
発表会の内容を決める際には、子どもたちの意見やアイデアを積極的に取り入れることが重要です。以下の方法を試してみてください。
- 話し合いの時間を設ける
発表会のテーマや劇のストーリーを決める際に、子どもたち同士で話し合う時間を作りましょう。
たとえば、「どんなお話をやってみたい?」「歌はどれがいいかな?」と質問を投げかけると、自分たちで考える機会が増えます。
具体例:- 絵本の中から好きな話を選ぶ活動を行う。
- 子どもたちが即興で物語を作る遊びを通じてストーリーを考える。
- 役割を子どもたちに決めてもらう
役を決めるときも、「この役をやりたい人は?」と問いかけ、できるだけ希望を尊重します。
人気の役が重なった場合は、「ジャンケンで決めよう」「交代でやってみよう」と、子どもたち自身で解決方法を考えさせるのも良い経験です。
2. 子どもたちが準備に関わる機会を増やす
発表会の準備そのものが、子どもたちの学びや成長の場になるよう工夫しましょう。
- 小道具や衣装を一緒に作る
発表会で使う小道具や衣装を子どもたちと一緒に作ることで、準備が「みんなで作り上げる」プロセスになります。簡単な作業を取り入れて、子どもたちが自分の役に愛着を持てるようにしましょう。
具体例:- 劇の背景を大きな紙にみんなで描く。
- 動物の耳や尻尾を画用紙や布で作り、飾り付けを行う。
- 装飾や会場準備に参加してもらう
発表会の会場作りも子どもたちに関わってもらいましょう。ステージの飾り付けや椅子の配置を一緒に行うことで、「自分たちの発表会だ!」という意識が高まります。
3. 子どもたち自身が練習の工夫を考える
練習を子どもたちが自分たちで進める時間を作るのも効果的です。保育士が主導するだけでなく、子どもたちがリーダーシップを発揮できる場を設けることで、自信を育むことができます。
- リーダー役を立てる
劇のシーンごとにリーダーを決め、練習の指揮を任せてみましょう。リーダーが友だちに「次はこの動きをしよう」と指示を出したり、うまくいった場面を褒めたりすることで、責任感と協調性が育まれます。 - 改善点を話し合う時間を作る
練習後に「今日はここがよかったね」「次はどうしたらもっと楽しくなるかな?」と話し合う場を設けます。子どもたちが自分たちで考え、次に向けて意識を高めるきっかけになります。
4. 子どもたちの成長を伝える工夫
発表会は子どもたちの成長を保護者に伝える場でもあります。発表そのものだけでなく、準備期間を通じて成長した姿をしっかり伝えられるようにしましょう。
- 準備の様子を記録する
練習中や小道具作りの様子を写真や動画で記録しておき、発表会当日にスライドショーとして見せると、保護者にも子どもたちの努力が伝わります。 - 保護者へのメッセージを込める
子どもたちと一緒に「保護者の皆さんへありがとうを伝える時間」を設けても素敵です。練習の中で作った「ありがとうカード」や感謝の言葉を添えることで、発表会がより感動的なものになります。
5. 保育士のサポートを忘れずに
子ども主体とはいえ、保育士の役割も非常に重要です。子どもたちが安心して取り組める環境を整え、サポート役に徹しましょう。
- 温かい声かけを心がける
練習中に「少し難しいな」と感じる場面があれば、「みんなで一緒にやれば大丈夫!」と励ます言葉をかけて、挑戦を後押しします。 - トラブルに柔軟に対応する
子ども同士の意見がぶつかったり、練習が進まない場面も出てきます。そんな時は、まず子どもたちの気持ちを聞き、「どうしたらうまくいくかな?」と解決策を一緒に考えていきましょう。
発表会成功の秘訣
5歳児の発表会は、子どもたちの成長を感じられる特別な機会です。準備は確かに大変ですが、子どもたちの輝く姿や保護者の感動に触れると、その努力が大きな喜びに変わります。
この章では、発表会を成功させるための秘訣を振り返り、最後のポイントをお伝えします。
1. 発表会は「子ども主体」で作ることが大切
発表会の主役は、あくまで子どもたちです。保育士がすべてを決めるのではなく、子どもたち自身がアイデアを出し、一緒に作り上げていく過程を大切にしましょう。
- 子どもたちの意見や気持ちを尊重する
- どんな劇にするか、どんな歌を歌うか、まずは子どもたちに意見を聞くことから始めましょう。
- 自分たちで決めたテーマや役割には、自然と責任感が生まれます。
- 準備過程そのものを楽しむ
- 小道具作りや練習時間を「みんなで一緒に楽しむ時間」に変える工夫を。
- 完璧さよりも、「一生懸命取り組む姿勢」を大事にしてください。
2. 計画的に進めて無理のない準備を
発表会準備が保育士にとって負担になることもあります。計画を立てて、効率的に進めることが重要です。
- スケジュールをしっかり組む
- 段階的な目標を設定し、準備期間を3つのフェーズ(テーマ決定、練習、仕上げ)に分けると進行しやすくなります。
- 保育士同士で役割を分担し、負担を分散しましょう。
- 保護者や周囲の協力を得る
- 小道具や衣装作り、当日の運営など、保護者や他の先生に協力をお願いすることも検討してみてください。
3. 保育士の声かけが成功のカギ
子どもたちが安心して取り組める環境を作るためには、保育士の声かけが重要です。
- ポジティブな言葉をかける
「上手にできたね!」「もう少し声を出したらもっと良くなるよ!」と、具体的に褒めることで子どもたちの自信を育てます。 - 失敗を受け入れる雰囲気を作る
間違えても笑顔で「次はこうしてみようね!」と前向きな声かけを心がけましょう。
4. 保護者への感謝を伝える場に
発表会は、保護者に子どもたちの成長を伝える場であると同時に、保護者への感謝を伝える機会でもあります。
- 準備期間の記録を共有する
- 写真や動画を使って、練習や制作活動の様子を見せると、保護者も子どもたちの頑張りを実感できます。
- 感謝のメッセージを届ける
- 子どもたちが一言ずつ「ありがとう」を伝える時間を設けたり、手作りのカードを用意するのも感動を呼ぶ演出です。
5. 「楽しい!」を共有する気持ちを忘れずに
最後に一番大切なのは、発表会のすべての過程が「楽しい!」と感じられることです。
- 保育士自身も楽しむ気持ちを持つ
子どもたちは、先生の表情や態度から大きな影響を受けます。保育士が楽しそうに取り組むことで、子どもたちも自然と笑顔になり、積極的に取り組むようになります。 - 当日は温かく見守る
本番では練習の成果を引き出すよりも、子どもたちが安心して自分を表現できることを第一に考えましょう。失敗しても、みんなで笑顔で終わることが成功の証です。
まとめ
5歳児の発表会は、子どもたちにとっても保育士にとっても特別な思い出に残るイベントです。
子ども達とワクワク発表会を楽しんでください。
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